Be With Produce KIRALAN VOICE LAND VOL.16 『Spiral』考察・感想 演出面・演技比較

個人的な感想と考察です。

 

 

 

《演出面》

 

 

 

  朗読劇『Spiral』の世界は、モニターの映像と効果音、照明演出のシンクロによって、リアルな異空間が生み出されていました。モレラの森の中を歩いてるときの砂利道を歩く足音の効果音、不気味な木々の上から覗く満月の映像は美しかった。

とくにエリクサーがゲシュペント村という亜空間へ迷い込むシーンでの役者がライトを歩き渡り風のSEと映像を回転させる演出は、会場にいる全員が『Spiral』の世界へ惹き込まれていたと思います。

個人的に大好きな演出が、最初のエリクサーが世界観の説明を語っているシーンの「モレラの花が赤いのは~」で映像で赤い花が一輪ずつinしてきてじわじわと照明で赤く染まっていくところです。あの演出はとても不気味で素晴らしかったと思います。

 

 

 

  今回、初めてヘッドセットマイクを使用していたので良かった点と悪かった点(主に役者さん側)がありましたが、個人的にはマイクの使用は微々たる演技の変化も聴こえてとても良かったので今後も継続して欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

《2人の演技比較》

 

 

 

  ずんたさんは、客席の方向を話し相手と仮定して演技するタイプの役者さんらしく、話す時は前を見て話すので、表情の演技がよく見えてよかったです。演技する方向に限らず、ずんたさんの演技は観客に分かりやすい、伝わりやすい演技だと思いました。演技で動くところではしっかりと動くが動かないところではまったく動かないメリハリがちゃんとしている、と言いますか。

 

 

 

  熊谷さんは、ずんたさんとは真逆で話をする演技の相手本人を観て演技するタイプでした。特出すべき点としては、エリクサーのときの食事のシーンの演技が天下一品だったなぁと。パンや肉を口に含んで咀嚼して食べながら話して飲み込んでまでの表情と口の動きと口で発せられる食事の音がリアルでしたね。紅茶も啜る音とカップを手に取る動作が良かったです。また、紅茶を高い位置から入れる手のモーションが綺麗でした。前に三木さんのラジオの公録でその場でガタガタ震える手でコーヒーを淹れてたのを思い出します。そういえばくまエリクサーの言い回しが幾度となく三木さんの演技の仕方に似ていた気がしました。

脱線しました。紅茶のカップを手に取る動きで 思い出しましたが、熊谷さんは手での表現がずんたさんに比べると多く取り入れていらっしゃったと記憶しています。紅茶のカップやレイスに絵本を手渡すシーンで絵本を差し出す、またレジュメルスとしてずんたエリクサーを訪ねてきた際に扉をノックする動きもされていましたね。

 

 

 

 レジュメルスで言えば、ずんたさんは高貴な育ちが漂う老年の男性で、熊谷さんはおじいさんという印象の演技でした。

 

 

 

①エリクサーとレイスが最初に出会うシーン。

レイスの出現に驚いて一時停止したエリクサーが、レイスの容姿や特徴をまじまじと観察して、あれっこいつもしかして?と疑問が確信に変わる心情の移り変わりがあったと思います。ずんたさんは、一時停止、顔や目で観察⇒疑問を表現、確信をしたとたん前に一歩踏み出す、という演じ方をされていました(多分)。一方で熊谷さんは、相手を見て訝しげに表情の変化と上半身を動かされる表現方法でした。

 

 

 

②「おーいおいおいおいおい」

それぞれの演技の特徴が分かりやすく出ていたんじゃないかなと思う台詞。熊谷さんは台詞をそのまま捉えて発している印象、ずんたさんは一つ一つ間や緩急をつけて疲れた演技をされていました。個人的にはこの台詞の熊谷さんの言い方が好きだったんですが、舞台で演じるという点ではずんたさんがさすがの技量を発揮されていたと感じました。舞台上での身の振り方が分かっている、安定感のある演技だったかな、と。

 

 

 

個人的に素人の目から見た感想ですが、今回のキャストは、じつに分かりやすく違った演技の仕方をされるお2人だったと思います。だからこの2人だったというのもあるんじゃないかなーと、観劇した今だから感じます。

 

 

 

今回は、朗読劇にしかできない、限られた範囲での演技が観られてよかったです。2人での朗読劇というものは、どうしても2人でしかも同じ役を交換するので演技を比較してしまうところで、それぞれの演技の特徴や癖、言い回しの違いが見られてとても面白かったです。また今後も『Spiral』の世界が別の役者さんによって表現されることを願っております。本当に、今回は推しの演技をじっくりを拝見できるいい機会でした。長々とありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

追記:以下、なんか書いてたら筆がのってしまった何か 

 

《生の演技の魅力》

 

 

 

本人が本人として登壇するイベントやニコ生はもちろん大好きです。噛み倒したりすぐ顔を赤くしたりやけっぱちになったり共演する人によって見せてくれる色々な表情を見るのはたいへん幸せです。ですが、私は役を演じて舞台に立つ推しを見聞きするのが一番好きなのです。いつもは謙遜して腰の低い推しが、別人の人生を背負って舞台の上で輝く姿が大好きなのです。そこにいる推しは、本当に別人の、その役そのものです。そういう姿を見ると、ああやはり推しは役者なのだなぁ役者が向いているんだなと思うし、これからも色々な人の人生を推しを通して見ていきたいと決意を固められるのです。普段、私が見聞きしているアニメやCDなどの作品はだいぶ前に収録されて推敲された、完璧な状態で私たちに届けられます。しかし舞台は生ものです。その日その瞬間に完成します。生ですから、完璧なものでは決してありません。本人たちが完璧だと思って臨んでも、失敗することなんてザラです。ただ舞台では、失敗したとしても、それもまた舞台のひとつの魅力だと私は思います。失敗をした時点で、間違いなく劇場にいる誰かが気付いて空気が変わることでしょう。それって、役者という1人の人間が観客に何かしらの影響を与えたってことになりませんか?その場でお互いの何も知らない他人同士が、ことばも介さずに繋がったんです。 もちろん胸糞悪くなったり集中力が途切れて飽きてしまったりすることもあるでしょう。でもそれは、その場にいる人にしか分からない、貴重な感想です。レポで読んだとしても、実際どれぐらい飽きてしまったとか気持ちの変化があったとかなんて、そこにいないと、本人にしか分からないのです。舞台は言葉では伝わらないのです。何が言いたいかというと、私は舞台が好きというだけの話です。なんか筆がのってしまったので舞台の良さを語ってるだけです。私はこれからも朗読劇はもちろん舞台で活躍する推しを見ていきたいし、そういった場が増えるようにこれからも応援していきたいです。なによりも、推しの大好きなお芝居をもっと出来る場が機会が増えていきますように。