Be With Produce KIRALAN VOICE LAND VOL.16 『Spiral』考察・感想 1日目2回目

《1日目2回目》

 

エリクサー:熊谷さん

 

レイス:ずんたさん

 

 

 

〇結末〇

エリクサーは時間旅行者だった。しかし時間旅行をする座標はちぐはぐで、エリクサー自身は時間旅行をするたびに記憶を失う。レイスが出会ったゴーストは、エリクサー。5歳の時に初めて会ってから、何度も村を訪れて紅茶の木から紅茶が取れること、星の伝説、美味しい紅茶の淹れ方、色々なことをレイスに教えてくれた。レイスの母親とレイスと3人で仲が良く、エリクサーはレイスの母親と、またゲシュペント村へ来られるようにと、大切な指輪を証として高台で約束をした。しかし、そこへレイスの母親と無理心中をしようと村長が襲いかかり、母親を守ろうとレイスが村長めがけて刺したナイフは村長が身代わりにした母親の胸に突き刺さった。そして20年間、何故かレイスはエリクサーが母親と村を焼き払った犯人だと思い込んでエリクサーを探し回り、ついにモルグで探偵をしていることにたどり着いた。そして自ら、レイスの父親と偽って演技をしてゲシュペント村へまた時間旅行をするよう仕向けた。レイスに記憶を思い出させられたエリクサーは混乱するが、母親を殺したのはレイスだと説得し、再び自分が時間旅行をしてレイスの母親が死なない未来に変えると言い高台から飛び降りた。そして、2人はゲシュペント村で再会した。レイスの母親が生きる未来で。

 

 

 

  実のところ、2回目で大満足して帰ってもいいぐらいの完成度のストーリー構成でした。個人的にループものと記憶喪失ものが大好きなので性癖に刺さったところがでかいです。すべてのルートのなかでは、唯一のハッピーエンドいや唯一希望が見える結末だったと思います。

 

  くまエリクサーは適当な探偵の印象でしたが、2回目では意外と博識だし変なこだわりや自分の信念は曲げない実は熱い男ですごく好きでした。

 

  くまエリクサーのことが憎くてしょうがないずんたレイスの演技が良かったです。推しの演技も見てみたかった。そこから、くまエリクサーに20年前の真実を突き返されて、取り乱す様はまるで、幼い少年のようでした。彼の時間は、20年前から止まったままだったのかもしれないですね。

 

 

   2回目のずんたレイスは終盤のネタバラシまで仇の相手としてエリクサーを捉えてるからか、笑顔とか口調が堅い気がしたけど、最後の再会シーンでは初めてあったはずなのに本当の友達のように優しくやわらかい微笑みに見えた気がしました。最後の再会シーン本当に良かった。短時間の映画を見たような満足感でした。最後のシーンでお互い名前を名乗ってたけど、そういえば2人ともフルネームは知らなかったんじゃないかな。

 

 

  いやでもまさかレイスが初めて描いた絵本の中に出てくる「飛ぼう、いま飛ぼう」をあそこで回収してくるとは思わなかったし、何かくまエリクサーが時間旅行をして歴史を変えると決意したぐらいから少年漫画みたいな熱い演技と展開でめちゃくちゃ満足でした。

 

 

  途中でレイスが独白していた比喩であった、新緑(深緑?)の海の底で拾い上げて照れたようにそっぽを向いた葉は、この2回目のレイスの母親と約束をして、照れたようにそっぽを向いたエリクサーのことを示唆していたんだなぁと。

 

 

  私は「木を選んでくれた人間に感謝しないとな」という台詞がどうにも引っかかっていて、今思えばわざと引っかかるような言い回しだった気もする。記憶喪失であることはしょうがないとはいえ、仇の男が自ら教えたことを忘れてまるで感謝してほしいかのように言うのだから、結末を考えるとレイスの心中お察ししました。

 

 

 

ここからは疑問に思ったことを羅列しているだけ。

 

なぜレイスはエリクサーが自分の母親を殺して村を焼き払った犯人だと勘違いしてしまったのか。3回目と繋がっているかどうか分かりませんが、人格を作り出して自己防衛をしたように、彼は自分が母親を殺した事実を受け止めきれず誰かに罪の重荷を押し付けて自分の心を守ろうとしたのではないか。だってまだ、当時の彼はおそらく5歳から10歳ぐらいの幼い少年だったのだから。

 

時間旅行の間の記憶を毎回失っている、とレイスが語っていたが、時間旅行をしていること自体忘れているエリクサーは毎回時間旅行をする方法を見つけ出すところから始めていたのだろうか。もしくは、時間旅行が当たり前の未来なのか。そもそもなぜ時間旅行をしていたのか。ところで時間旅行と聞いたとき、真っ先に私の中では、エリクサーがいた時間は科学技術が発達した近未来だと思いましたが、よく考えてみれば魔女伝説があるような世界なら、魔法があってもおかしくないですね。

 

まぁただでさえ2回目は結末で二転三転して一番文字量と展開が多く終わる時間も一番遅かったので、そんなところまで説明していたら2時間超えてしまいかねないですから、2回目の冒頭、1回目よりも話すスピードが早く感じたのはリハとかで時間がギリギリだったからかなぁとか野暮なことを観劇脳は考えてしまいました。

 

エリクサーは過ちを正すために再び時間旅行をすると決心して高台から飛び降りるわけだけど、時間旅行を終わらせるには高い場所から飛び降りるとか命の危険に遭わないといけないとかルールがあるのかなぁ。でも昔レイスと会っていた頃は音もなく消えたりしていたから、制限時間があって、途中で終了させるには命を危険に晒さないといけないみたいなものかなとかめんどくさいおたくは考えてしまう。機会があればエリクサーが本当にいる時代のお話も観てみたいです。